脱水(体重の1〜3%)が筋力・無酸素パフォーマンスに与える影響(RCT)
Judelson DA, et al.
研究が積み重なりつつある段階のエビデンス
サマリー
レジスタンストレーニング経験のある健常男性7名が、水分状態を3条件(正常/体重の約2.5%脱水/約5.0%脱水)に変えてレジスタンス運動を行ったクロスオーバー試験。脱水は運動と暑熱ストレス、および前日の水分摂取の管理で作り出した。実測の体重減少は2.4±0.4%と4.8±0.4%。垂直跳びの高さ、下肢の最大パワー(ジャンプスクワット)、下肢の最大筋力(等尺性バックスクワット)には、3条件間で有意差が認められなかった。 中枢性活性化率(CAR)は脱水が進むほど下がる傾向を示したが有意ではない(正常95.6%→2.5%脱水94.0%→5.0%脱水92.5%、P=0.075)。一方、6セットのバックスクワットで達成した総仕事量の割合で評価すると、脱水はレジスタンス運動の遂行を有意に低下させた(2.5%脱水で2〜3セット目、5.0%脱水で2〜5セット目)。著者らは、脱水がレジスタンス運動の遂行を減弱させること、その機序として中枢性の駆動が関与するかはさらなる研究を要することを結論としている。
検証の内訳
- 書誌照合
- Crossref と照合済み
- 内容照合
- 本文の記述を原著の抄録と突き合わせています確認した範囲: 被験者数・測定したアウトカム・研究デザイン・対象集団被験者7名と少なく、脱水は運動と暑熱ストレスで人為的に作っている。検証されたのは約2.5%と約5.0%の脱水で、軽度の脱水については何も言えない。
- 訂正履歴
1件を表示
- 結論が反転していた。 旧記述は「体重の2%以上の脱水で筋力・パワーが有意に低下(最大5〜8%)」としていたが、抄録は垂直跳び・下肢の最大パワー・下肢の最大筋力のいずれにも有意差が無かったと述べている。有意に低下したのは6セットにわたるバックスクワットの遂行である。被験者数も10名ではなく7名、脱水条件も「1〜3%」ではなく約2.5%と約5.0%。「5〜8%低下」「筋持久力が最も影響を受けやすい」「1%程度なら影響が小さい」はいずれも抄録に無い。変更履歴
- 編集の確認
書誌の照合は Crossref・PubMed への機械照会で行っています。結果は上記の照合日時点のもので、それ以降に出た撤回・訂正は反映されていません。最終照合から365日を超えたロックを使う新しいビルドは失敗します。 内容の照合はAIが原著の抄録と突き合わせたもので、専門的な妥当性の判断ではありません。 検証していない範囲も隠さず表示しています。 検証の方法について
この研究で分かること
- 1
垂直跳び・下肢の最大パワー・下肢の最大筋力には、脱水の程度による有意差が無かった。 単発の最大努力は、この試験の範囲では脱水の影響を受けていない。
- 2
影響が出たのは「セットを重ねたときの遂行」である。 6セットのバックスクワットで達成した総仕事量の割合で見ると、2.5%脱水では2〜3セット目、5.0%脱水では2〜5セット目で有意に低下した。
- 3
中枢性活性化率は脱水が進むほど下がる傾向を示したが、有意ではない(95.6%→94.0%→92.5%、P=0.075)。機序としての中枢性駆動は仮説にとどまる。
- 4
検証されたのは体重の約2.5%と約5.0%の脱水であり、1%程度の軽度脱水は試されていない。実測の体重減少は2.4%と4.8%。
- 5
被験者はレジスタンストレーニング経験のある男性7名と少ない。脱水は運動と暑熱ストレスで作り出しており、日常的な水分不足とは条件が異なる。
関連するサプリ
PR
電解質(エレクトロライト)体水分の不足(低水和)は心血管系と体温調節への負担を増やし、有酸素パフォーマンスを低下させる(Shirreffs 2011)。

以下のリンクはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。
関連する研究
この研究を扱った記事
- 解説
チョーク・リストラップ・ストラップは何を変えるのか——測られたことだけを並べる
3つの補助具について、収録している3件が測ったことは次のとおり。チョーク——クライミングで、摩擦係数にも指の屈筋群の筋活動にも有意差は検出されなかったが、ぶら下がっていられる時間は有意に長かった。リストラップ——ベンチプレスの1RM・パワー・速度に有意な条件効果は検出されず、主観的には安定するが非着用より不快だった。ストラップ——デッドリフトで、同じ重量なら速度が上がり握力の疲労が小さくなった。どれをいつ使うべきかを比べた研究は収録していない。
吉崎 槙吾
- 解説
1RMテストについて、収録した出典が言える範囲
1RMテストの安全性を調べた研究も、手順ごとの怪我のリスクを比べた研究も、本記事は収録していない。 収録している LeSuer ら(1997)と Pereira & Gomes(2003)が扱っているのは、推定式の精度と筋力テストの再現性であって、1RMテストの安全性ではない。
吉崎 槙吾
最終確認: