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研究 vs 勘

「大筋群を先にやれ」は正しいのか? 種目順と筋力向上の関係を検証

公開日: 更新日:

執筆: 吉崎 槙吾監修: 染田 智信

「コンパウンド種目を先に、アイソレーションは後で」「大筋群から小筋群の順番が鉄則」とよく言われる。一方で「好きな種目から始めた方がモチベーションが続く」という主張も根強い。種目順が筋力・筋肥大に本当に影響するのかを研究で確認する。

Round1

コンパウンド種目→アイソレーション種目の順番が最も効果的

言われていること

ジムでの通説、多くのトレーニング教材

スクワット・デッドリフト・ベンチなど大きな動作を先にやらないと、小さい筋を使い果たして大きな種目に響く。コンパウンド先行が鉄則。

VS

研究が示すこと

  • 種目順を比較したRCTについて、本サイトが示せる出典は Spineti ら(2010)である。 一般に報告されているのは「先に行った種目のパフォーマンス(レップ数・発揮重量)が優位」という一貫したパターンが見られた。
  • つまりコンパウンドを先にすればコンパウンドが良い成績になり、アイソレーションを先にすればアイソレーションが良くなる。
  • 長期的な筋肥大への影響はどちらの順でも有意差がない、という結果が多い(Nunes ら 2021)。
判定

「最も優先度の高い種目・筋群を先に行う」という原則は正しい。しかしそれは必ずしも「コンパウンド=先」ではなく、「最も鍛えたい部位・目的の種目を先に行う」という解釈が研究に即している。筋肥大の長期成果への影響はどちらの順でも有意差がないと報告されている(Nunes ら 2021)。

信頼度:賛否が分かれる
Round2

有酸素と筋トレを同日にやるなら筋トレを先にしないと効果が落ちる

言われていること

コンカレントトレーニングの一般的な指導

有酸素を先にやると筋グリコーゲンを使い果たして、筋トレの強度と筋肥大効果が下がる。同日にやるなら必ず筋トレが先。

VS

研究が示すこと

  • 収録している Chtara ら(2008)の12週間RCTでは、「有酸素→サーキット」と「サーキット→有酸素」の間にすべてのテストで有意差が出なかった
  • 著者らも「セッション内の順序は筋力・爆発的筋力・パワーの適応に影響しなかった」と明記している。
  • 同じ試験で差が出たのは順序ではなく、組み合わせた両群がサーキット単独群より伸びが小さかった点である(1RM p<0.01、5段跳び p<0.01 など)。
  • 急性反応を測った研究も、セッション間の間隔を比べた研究も、本記事は収録していない。
判定

収録している Chtara ら(2008)の12週間RCTでは、「有酸素→サーキット」と「サーキット→有酸素」のあいだにすべてのテストで有意差が出ていない。同じ試験で差が出たのは、組み合わせた両群がサーキット単独群より伸びが小さかった点である。急性反応もセッション分離も、本記事は測った研究を収録していない。

信頼度:賛否が分かれる
訂正履歴訂正1回・撤回した原文5件

公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。

  • 第1ラウンドの結論に書いていた「順序より総ボリュームが重要」、第2ラウンドの「急性の研究では、同一セッションで有酸素を先に行うとその直後の筋力発揮量が落ちることが示されている」「セッション間に数時間以上の間隔をあければ干渉が縮むという報告もある」、およびその結論の「セッションの直後だけを見れば筋トレ先行が有利で、その日の出力は確かに変わる」「効くのは順序より、有酸素を足すかどうかと、セッションを分けられるかどうかである」——を撤回した。急性反応を測った研究も、セッション間の間隔を比べた研究も、総ボリュームと順序を比べた研究も、本記事は収録していない。収録している Chtara ら(2008)が示しているのは、12週間で順序による有意差が出なかったことと、組み合わせた両群がサーキット単独群より伸びが小さかったことである。撤回にあわせて、関連研究から Schoenfeld ら(2017)のレコード(training-volume-hypertrophy)を外した。撤回した「順序より総ボリュームが重要」に紐づいていたもので、本文はこれを引いていない。
    撤回した原文5件

    公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。

    1. 筋肥大の長期成果への影響は小さく、順序より総ボリュームが重要
    2. 急性の研究では、同一セッションで有酸素を先に行うとその直後の筋力発揮量が落ちることが示されている
    3. セッション間に数時間以上の間隔をあければ干渉が縮むという報告もある
    4. セッションの直後だけを見れば筋トレ先行が有利で、その日の出力は確かに変わる
    5. 効くのは順序より、有酸素を足すかどうかと、セッションを分けられるかどうかである

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  • クレアチン

    高齢者では、レジスタンストレーニングにクレアチンを加えると除脂肪量と筋力の増加が大きかった。 22件のRCT(計721名、平均年齢57〜70歳)を統合したメタ分析で、除脂肪量は平均差 +1.37kg(95%CI 0.97〜1.76、p<0.00001)、チェストプレス筋力は標準化平均差0.35(p=0.0002)、レッグプレス筋力は同0.24(p=0.01)だった(Chilibeck 2017)。若年者を対象にした同種のメタ分析を、本サイトはまだ収録していない。

  • カフェイン

    最大筋力・筋パワーの向上は有意だが、効果量は小さい。 筋力を扱った10件・パワーを扱った10件を統合したメタ分析で、筋力が標準化平均差0.20(95%CI 0.03〜0.36、p=0.023)、パワーが0.17(95%CI 0.00〜0.34、p=0.047)。パワーの信頼区間の下限はほぼ0である。 サブグループでは上半身の筋力が有意(0.21、p=0.026)、下半身は有意でない(0.15、p=0.147)。ただし群間差の検定は示されておらず、部位による効果差は結論できない(Grgic 2018)。

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吉崎 槙吾

執筆

吉崎 槙吾

エンジニア / BODYDATAリサーチ担当

エンジニアの仕事は裏付けを取ること。筋トレの通説も、ソースコードと同じで中身を読んでから信じます。

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染田 智信

監修: 染田 智信

トレーニング指導とサプリメント業界での実務経験の観点から内容を確認しています

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