
リフティングシューズはスクワットの深さと体幹の角度を改善する
言われていること
パワーリフティング・ウエイトリフティングコーチ、ジムでの通説
かかとを上げることで足関節の可動域制限を補完し、より深くしゃがめるようになる。特に足首が固い人には必須アイテム。
研究が示すこと
- 収録している Sato ら(2012)は、大学生25名が1RMの60%でバックスクワットを行った研究である。リフティングシューズ着用時に足部の角度が3.5度大きく(p<0.05)、体幹前傾が22mm小さかった(p<0.05)。大腿部の最大屈曲角には有意差が無かった(p=0.37)。 著者らは、リフティングシューズが体幹前傾を減らすことは腰部のせん断応力を減らすと考えられるため有益に見えるとし、前傾しやすい人や膝伸筋の活動を高めたい人にリフティングシューズの使用を推奨するとしている。一方、リフティングシューズは走用シューズと比べて大腿部を水平に近づける助けにはならなかったとも述べている。 収録しているもう1件(Whitting ら、9名)は、走用シューズとリフティングシューズを1RMの50%・70%・90%で比べた研究である。左右の足関節の最大背屈に主効果があり(いずれも p<0.001)、走用シューズのほうが背屈が大きかった。左足関節では負荷の主効果もあり(p<0.01)、50%から90%、70%から90%で背屈角が有意に増加した(いずれも p≤0.05)が、50%と70%のあいだには差が無かった(p=1.000)。 著者らは、スクワットにおけるリフティングシューズの利点についての主張を裏づけるには、さらなる検討が必要だと結論している。
収録した2件が報告しているのは、リフティングシューズで足部の角度が大きく体幹前傾が小さいこと(Sato 2012、25名)と、走用シューズのほうが足関節の背屈が大きいこと(Whitting、9名)までである。後者の著者らは、リフティングシューズの利点についての主張を裏づけるにはさらなる検討が必要だとしている。
かかとを上げると膝への負担が増して怪我リスクが高まる
言われていること
フラットシューズ推奨コーチ、一部のスポーツ整形外科
かかとを上げるとひざが前に出すぎてひざ関節への圧力が増す。ひざに悪い。
研究が示すこと
- 本記事の sources は Sato ら(2012)と Whitting ら(2016)の2件だけである。Sato の抄録が報告しているのは足部の角度・体幹前傾・大腿部の屈曲角という運動学であり、腰部のせん断応力は測定結果ではなく著者らの推論として述べられている。Whitting の抄録が扱っているのは足関節の背屈である。膝の圧縮力も、傷害リスクも、安全域も、腰椎の負荷も、どちらも測っていない。 膝の前方移動も、どちらの抄録にも無い。
膝や腰への負担について、収録した2件から何かを示すことはできない。 本記事は教育・参考目的であり、個別の医療判断ではない。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文12件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 出典を照合した結果、以前この記事が公開していた次の記述を撤回した。収録している Sato ら(2012)が測ったのは足部の角度・体幹前傾・大腿部の最大屈曲角で、膝の前方移動も股関節の屈曲角も測っていない。 大腿部の最大屈曲角には有意差が無かった(p=0.37)。もう1件の Whitting ら(2016、9名)が扱っているのは足関節の背屈である。
①「Sato ら(2012)やFootwear squat kinematics研究(本データベース収録)では、かかと上昇シューズの使用で体幹の前傾角が有意に減少(より垂直に近い体幹)し、膝の前方移動が増加することが確認されている」——膝の前方移動の部分が誤り。体幹前傾の減少は Sato ら(2012)が報告しているので本文に残している。②「スクワットの深さ(股関節の屈曲角度)も改善する傾向がある」——股関節の屈曲角は測られておらず、大腿部の最大屈曲角には有意差が無かった。③「ただしこれは「足首の可動域が制限されている人」でより顕著で、十分な足首可動域を持つ人への追加効果は限定的」、④「足首の可動域が制限されているトレーニーにはリフティングシューズは明確な効果がある」、⑤「一方、十分な足首可動域があれば必須ではない」、⑥「シューズで補うか、足首の可動域トレーニングで根本から解決するかは目的次第」——足首の可動域で層別した比較も、可動域トレーニングを扱った研究も収録していない。
⑦「Squat depth & knee load review(本データベース収録)では、深いスクワットでの膝関節コンパクト力(圧縮力)は増加するが、健康な膝には問題がないレベルとされる」、⑧「かかと上昇はひざの前方移動を増加させるが、同時に体幹の前傾を減らすことで腰椎・股関節への負担が分散される」、⑨「膝への負担の「絶対値」よりも「関節が許容できる可動域内に収まっているか」が安全性の指標」、⑩「膝への負担増加は事実だが、健康な膝では許容範囲内」、⑪「むしろリフティングシューズで体幹が立つことで腰椎への負担が軽減する側面もある」、⑫「過去に膝障害がある場合は医師・理学療法士に相談した上で判断することを推奨する」——膝の圧縮力も、傷害リスクも、安全域も、腰椎の負荷も、収録した2件はどちらも測っていない。Sato ら(2012)の抄録で腰部のせん断応力に触れているのは測定結果ではなく著者らの推論である。
撤回した原文12件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
Sato ら(2012)やFootwear squat kinematics研究(本データベース収録)では、かかと上昇シューズの使用で体幹の前傾角が有意に減少(より垂直に近い体幹)し、膝の前方移動が増加することが確認されている。
スクワットの深さ(股関節の屈曲角度)も改善する傾向がある。
ただしこれは「足首の可動域が制限されている人」でより顕著で、十分な足首可動域を持つ人への追加効果は限定的。
足首の可動域が制限されているトレーニーにはリフティングシューズは明確な効果がある。
一方、十分な足首可動域があれば必須ではない。
シューズで補うか、足首の可動域トレーニングで根本から解決するかは目的次第。
Squat depth & knee load review(本データベース収録)では、深いスクワットでの膝関節コンパクト力(圧縮力)は増加するが、健康な膝には問題がないレベルとされる。
かかと上昇はひざの前方移動を増加させるが、同時に体幹の前傾を減らすことで腰椎・股関節への負担が分散される。
膝への負担の「絶対値」よりも「関節が許容できる可動域内に収まっているか」が安全性の指標。
膝への負担増加は事実だが、健康な膝では許容範囲内。
むしろリフティングシューズで体幹が立つことで腰椎への負担が軽減する側面もある。
過去に膝障害がある場合は医師・理学療法士に相談した上で判断することを推奨する。
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出典
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