メンタルトレーニング(想像による最大随意収縮)による筋力増強と皮質活動の変化
Ranganathan VK, Siemionow V, Liu JZ, Sahgal V, Yue GH
研究はまだ限定的で、今後の検証が必要な段階
サマリー
健康な若年成人を小指外転の想像訓練群(n=8)・肘屈曲の想像訓練群(n=8)・対照群(n=8)・実際に体を動かして鍛える群(n=6)に分け、12週間(1日15分・週5回)想像による最大随意収縮トレーニングを行った。想像訓練のみで小指外転筋力が約35%、肘屈筋力が約13.5%増加し、脳波(EEG)由来の皮質電位も筋力増加と並行して上昇した。ただし実際にトレーニングした群の増加(約53%)には及ばず、対照群では有意な変化はなかった。各群8名程度の小規模研究であり、想像の遂行度を客観的に確認できない点も限界。
この研究で分かること
- 1
想像トレーニングのみで小指外転筋力が約35%、肘屈筋力が約13.5%増加(いずれも統計的に有意)
- 2
実際に体を動かして鍛えた群は約53%増加しており、想像トレーニングは実トレーニングの効果には及ばない
- 3
筋力増加と並行してEEG由来の皮質電位(運動野の活動を反映)が上昇しており、中枢神経系の適応を裏づける
- 4
対照群(何もしない)は有意な変化なし。限界: 各群8名程度と小規模で、被験者が実際にどれだけ真剣に想像を行ったかは客観的に検証できない
関連する研究
想像するだけの最大収縮トレーニングによる小指外転筋力の増加
Journal of Neurophysiology, 1992
健康な成人30名(各群10名)を、実際に小指外転筋を最大収縮させる群・収縮を想像するだけの群・何もしない対照群にランダム割付し、4週間・週5回のトレーニングを行った。想像群でも筋力が約22%増加し(実収縮群は約30%、対照群は3.7%)、電気刺激による攣縮力は3群とも変化がなかった。筋肥大を伴わずに筋力だけが向上したことから、想像トレーニングによる筋力増加は中枢神経系(運動プログラム)の適応である可能性が示された。ただし各群10名という小規模な単一研究であり、対象筋も小指外転筋という小筋群に限られる。
手関節の固定中にメンタルイメージを行うと筋力低下が軽減される
Journal of Neurophysiology, 2014
健康な若年成人44名を「手関節を4週間ギプス固定」「固定に加え毎日メンタルイメージ(強い収縮を想像)を実施」「介入なしの対照」の3群にランダム割付したRCT。固定のみの群は手関節屈筋力が平均45%低下したのに対し、固定+メンタルイメージ群の低下は平均24%にとどまり、筋力低下がおよそ半分に抑えられた。随意活性化の障害や皮質性抑制の指標も、イメージ群でより小さかった。対象は健康な若年成人で、実際の骨折・術後患者や高齢者での再現、筋萎縮そのものの測定は行われていない点に注意が必要。
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